最高裁判所第一小法廷 昭和26(あ)1091 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人内田松太の上告趣意第一点は判例違反をいうけれども、原審判決は、本件
第一審判決の判文全体の記載から合理的に見て、同判決が所論告発書を挙示したの
は、その判示第一事実の罪となるべき事実の直接認定資料に供したものとは認めら
れないから、採証上の法則に反した違法がないと判断したものであることその判文
に照し明白であり、これに反し、所論引用の判例は、同事件の第一審判決が税関吏
の告発書をも判示犯罪事実認定の証拠としたものと解するより外ないから採証の法
則に反した違法があると判断したものである。従つて、原審判決は、所論判例と、
その採証の法則に違反したか否かの判断の前提を異にしただけで毫も相反する法律
上の判断をしていない。そして、第一審判決の判示第一の事実については、所論告
発書のほか、多数の証拠が挙示せられており、右事実は右告発書を除くその他の証
拠によつて充分これを肯認できるから原審判決が判文全体の記載から合理的にこれ
をみると第一審裁判所が右告発書を示したのは、判示第一の本件罪となるべき事実
の直接認定資料に供したのではなく、右事実の公訴提起の手続が有効に行われたこ
とを証明するために示したものと解するを相当とすると判示したのは正当である。
同第二点は、結局単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張を出でないのであつ
て刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべ
きものとは認められない。
よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和二八年二月一九日
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 入 江 俊 郎
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裁判官 真 野 毅
裁判官 斎 藤 悠 輔
裁判官 岩 松 三 郎
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